結論:全体は「3〜5か月」。ただし決めるのは工程ではなく段取り
中国OEMのリードタイムは、初回のご相談から量産品が手元に届くまで、おおむね3〜5か月が目安になります。
ただし、この期間は「作業にかかる時間」の合計ではありません。実際に期間を左右するのは、各段階で意思決定が止まった時間です。仕様が決まらない、サンプルの承認が遅れる、連休をまたいだ——この3つで数週間から2か月が動きます。
| 進め方 | 目安期間 |
|---|---|
| フルスクラッチ(処方開発から) | 約3〜5か月 |
| 既製容器+オリジナル化粧箱 | 約2〜3か月 |
| 既製品+名入れ加工 | 約1〜1.5か月 |
1. 段階ごとの目安
以下は標準的な案件を想定した目安です。実際の期間は仕様の確定度、工場の稼働状況、時期によって変動します。
| # | 段階 | 目安 | 止まりやすい理由 |
|---|---|---|---|
| 01 | ご相談・要件定義 | 3〜7営業日 | 用途・数量・納期が未確定 |
| 02 | サプライヤー調査・お見積り | 1〜2週間 | 仕様が変わり、比較条件が揃わない |
| 03 | 試作サンプルの製作 | 2〜4週間(処方開発を伴う場合は4〜8週間) | 処方の調整、容器の手配待ち |
| 04 | サンプルの国際輸送 | K1便:最短翌日/K2便:約3営業日/エクスプレス:約5〜7営業日 | 書類の不備、受取先の未確定 |
| 05 | サンプル検証・修正・再試作 | 1回あたり2〜3週間 | 評価基準が決まっておらず判断がぶれる |
| 06 | 正式発注・量産 | 3〜5週間 | 版・金型の確定待ち、工場の稼働状況 |
| 07 | 出荷前検品 | 1〜3営業日 | 合否基準の未合意、不具合の是正 |
| 08 | 輸出梱包・通関・国際配送 | 航空便:最短翌日〜約7営業日/船便:約15〜20日 | 容積重量の想定違い、繁忙期 |
段階04・08の輸送日数は、サイトの料金体系・お支払いに記載の到着目安に基づきます。それ以外の日数は一般的な実務の目安であり、案件ごとに異なります。個別のお見積り時に、工程表としてご提示します。
2. 短縮できる工程と、できない工程
すべての工程が同じように短縮できるわけではありません。ここを混同すると、「急げば何とかなる」という誤解が生まれます。
| 短縮できる | なぜ | 短縮できない | なぜ |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | 事前に情報を揃えれば数日で終わる | 処方の安定性確認 | 経時変化の確認には実時間が必要 |
| 見積の比較 | 仕様が確定していれば条件が揃う | 製版・金型の製作 | 物理的な加工時間 |
| サンプル往復の回数 | 評価基準を先に決めれば1回で決まる | 船便の輸送日数 | 船のスケジュール |
| 社内承認 | 承認者と期限を先に決める | 連休期間 | 工場・物流が停止する |
短縮の余地が最も大きいのは、実は自社側の工程です。 仕様の決定とサンプルの承認が早ければ、全体は1〜2か月短くなります。
3. スケジュールが崩れる3つの分岐点
分岐1:仕様を「未定」のまま発注する
未定項目を残したまま量産に進むと、途中で仕様変更が発生し、手直し・再検品・納期延長が連鎖します。未定の項目は、いつまでに誰が決めるのかを先に決めておく必要があります。
分岐2:サンプル承認が社内で止まる
サンプルが届いてから「誰が承認するか」を決め始めると、それだけで1〜2週間が失われます。承認者と承認期限は、サンプルが届く前に決めておくのが原則です。
分岐3:中国の連休をまたぐ
旧正月(春節)と国慶節は、工場と物流が実質的に停止します。とくに春節(2027年2月上旬)は影響が大きく、前後の1〜2週間は稼働が不安定になります。連休をまたぐ場合は、次の二択になります。
- 連休前に量産を終える
- 連休明けに量産を回し、納期を後ろにずらす
連休をまたぐ案件の逆算方法は国慶節・春節をまたぐ中国仕入れで詳しく扱っています。
4. 納期からの逆算(例:2027年3月中旬に販売したい場合)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年10月 | ご相談・要件定義(参考画像と想定数量を用意) |
| 2026年11月 | サプライヤー調査・見積確定・仕様の確定 |
| 2026年11月〜12月 | 試作サンプル製作・検証・修正 |
| 2026年12月 | サンプル承認(マスターサンプル確定) |
| 2027年1月中旬 | 正式発注・量産着手 |
| 2027年2月中旬 | 出荷前検品(春節の稼働停止を挟む) |
| 2027年2月下旬 | 輸出梱包・出港 |
| 2027年3月中旬 | 日本到着・納品 |
この例では、春節(2月上旬)が検品と重ならないよう、1月中旬に量産へ入れるかどうかが分岐点になります。1週間の遅れが、連休をまたいで3週間の遅れに変わるのがこの時期の特徴です。
5. スケジュールを守るための5つの実務
- 参考画像・用途・想定数量・納期を初回に揃える(要件定義が最短で終わる)
- 必須条件と提案余地を分けて伝える(見積の比較条件が揃う)
- サンプルの評価項目と合否基準を先に決める(往復回数が減る)
- 社内の承認者と承認期限を先に決める(止まる時間を消す)
- 連休を最初から工程表に入れる(後から気づくと手遅れになる)
よくあるご質問
Q. 最短でどのくらいで納品できますか? A. 既製品への名入れ加工であれば約1〜1.5か月が目安です。専用の処方開発を伴う場合は、試作と検証に時間が必要なため、3〜5か月を見込んでください。
Q. 急いでいる場合、短縮できる部分はどこですか? A. 要件定義、見積の比較、サンプルの往復回数、社内承認は短縮できます。一方、処方の安定性確認や船便の輸送日数は短縮できません。
Q. サンプルは何回くらいやり直しになりますか? A. 評価基準を先に決めている場合、多くは1〜2回で承認に至ります。基準が曖昧なまま進めると、回数が増え、その分だけ納期が延びます。
Q. 見積りはどのくらいで出ますか? A. 初回のお問い合わせには、営業時間内(月〜金 10:00〜19:00 JST)は原則30分以内にご返信します。お見積りの完成は、サプライヤーへの調査が必要なため、通常1〜2週間が目安です。
Q. 途中で納期が遅れることはありますか? A. 仕様変更、不具合による手直し、連休、繁忙期の影響で生じることがあります。重要なマイルストーンは事前に共有し、納期に影響するリスクが生じた場合は、状況と是正案をあわせてご報告します。
まとめ
- 中国OEMの全体期間は、フルスクラッチで約3〜5か月、既製容器活用で約2〜3か月が目安
- 期間を決めるのは作業時間ではなく、意思決定が止まった時間
- 短縮余地が最も大きいのは自社側の工程(仕様決定・サンプル承認)
- 春節(2027年2月上旬)・国慶節をまたぐ場合は、最初から工程表に入れる
著者について
itsushou(GAMU 中国OEM・商品開発担当) 中国での商品開発・OEM生産・工場との調整業務に携わり、実務経験をもとに中国OEMに関する情報を発信しています。
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